斎藤幸平氏の新著を読む

今から2000年近く前に著された『仏説無量寿経』という経典に、このような言葉があります。

「普済諸貧苦(ふさいしょびんぐ)」

阿弥陀仏になる前の法蔵菩薩が、「諸々の貧苦から人々を救わないかぎり、私は仏にはならない」と誓った言葉であり、仏教の、そして浄土真宗の根本的な目的です。

しかし、現代社会を見渡すとどうでしょうか。
富の一極集中、気候危機、力による支配の横行……。他者を切り捨てるような風潮が広がり、貧苦は縮小するどころか世界中で拡大しています。先日、ユニセフから活動報告と募金のお願いの頼りが届きました。困難なもとに暮らす子どもたちの写真を眺め、「この現実をどうすればいいのか」と思うのです。たとえ貧者の一灯であっても、できることはさせていただくわけですが。

「お寺フェス」も終わり、なんとなくそういうことを考えていたのです。するとネットで私の関心に寄り添うようにオススメされたのが、経済思想家・斉藤幸平さんの新著『人新世の「黙示録」』でした。早速入手しました。

本のカバー裏には、こう記されています。

「不安の悪循環を逆転させ、破局の時代を生き抜くためには、どうすればいいのか。その切り札が参加型の計画経済だ。しかし、全体主義にならない計画経済は可能なのか。この矛盾を気鋭の経済思想家が解決し、未来への扉を開いていく」

詳細に読み込んだわけではありませんが、付箋をペタペタと貼り付けてページをめくりました。

「普済諸貧苦」という誓いを、困難な時代にどう実現していくか。現代社会をとらえなおし、具体的な手立てを考える上で、大変な刺激を受ける一冊です。斎藤さんは「マルクス主義者」を名乗っているので、お坊さんは拒否反応するかもしれませんが、物事を固定的に見るのは仏教の精神にも反します。それはともかく、いま読むべき1冊であると思います。

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投稿者: 西法寺

西法寺のHPを管理している釈大朗です。よろしくお願いします。

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