お寺には本堂と庫裡(くり)があります。本堂とは仏様が安置されています。庫裡は居住スペースでもありますが、門信徒のみなさんが気軽に使っていただける集会所のような部屋もあります。
長年、座卓であった集会所を思い切って椅子と机にすることにしました。
本日、まず椅子が到着。
ベトナムで作られ、輸送され、この地までやってきてくれました。たくさんの人たちの手を借りて。
数年前に話題となった『君たちはどう生きるか』では、「網の目の法則」という話が出てきます。
私たちは気がついていないだけで、実は無数の関係性の中で生きる、生かされている存在である、主人公のコペル君は気づくのです。
この本が書かれたのは戦前のこと。日本が本格的な戦争に突入する手前のことです。
作者はいいたかったのでしょう。誰のいのちも平等、支え合って人は生きていることを忘れてはいけない、と。
そのことを忘れた時、人類は、自分で自分を苦しめる行為に走ってしまいます。
遠い国からやってきてくれた椅子をダンボールから出しているとふと、そんなことを思うのでした。