週末は法事が4件あります。お話しする内容を何パターンか増やさなければと思っているのですが、まだ2つしかできていません。一つは先日、ブログで紹介した数にまつわるお話、もう一つは、毎月のお寺の掲示板を入り口にしたお話です。後者の方は、明日のご法事の際にと考えているところです。
加えて、何か時事的なトピックから仏教の教えをお話しできないかなあと思っていたところ、こんな話題が。
「愛国的な百万長者」並びに国際NGOオックスファムが発表した書簡のことを報道で知りました。「パンデミック下でこの2年間、世界がとてつもない苦しみを味わう一方で、われわれの富は増加し、公平な税負担をしていると言える富豪はほとんどいない」としています。
仮に、資産100万ドル以上の富豪に2%、10億ドル以上の大富豪に5%の富裕税を導入した場合、毎年2兆5200億ドル(約287兆円)の税収確保が可能となるそうです。それによって、23億人の貧困からの脱却、世界中へのワクチン確保、中低所得国の全市民(36億人)への医療保険・社会保障の提供ができるというのです。
これだけの格差が現実にあり、それを政治の決断で幾分か埋められる可能性がある、ということなのでしょう。
仏教には、自利利他の精神があります。自利とは、自らを利すること、利他とは他者を利することです。自利利他とは、この2つを完全に両立することです。今回のことから考えてみると、もうけをあげることと公正な分配を両立すると言うことでしょうか。
また、お布施とは、喜捨の精神です。お寺や寺院に寄付するとともに、困っている人を救うために差し出すことです。富豪のみなさんが、喜んでかどうかはわかりませんが、困っている人のために捨てるといっているのは間違いないでしょう。
もうお亡くなりになられましたが、哲学者の梅原猛さんは、日本の資本主義が発達したのは、大乗仏教の自利利他の精神があったからこそ、と以前、発言されていました。それが本当かどうか私には見識はありませんが、富を独占するのではなく、分かち合う精神こそ、取り戻してほしいと切に願います。
日本の大富豪の皆さんもぜひ続いて欲しいものです。