吾輩は、岩井を拠点に生きる野良猫である。

猫界では男らしさの象徴である大きな顔は変わらぬが、この2年ほどで歯牙4本を失い、四肢の動きも従前ほどの素早さがなくなってきた。
老いを認めざるを得ない吾輩であるが、豊かな知恵がある。パトロールエリアのひとつにある西法寺の住職宅のニンゲンたちをシモベにしたのである。

もともと彼らとは、寛容なる吾輩の猫柄をもって良好な関係を保ってきた。狩りが安定的にできなくなった段階で、三食と新鮮な水を給仕するようニンゲンどもをしつけ、寒さの厳しい季節には、寒さを逃れる猫屋敷の設置をさせたのである。段ボール製だ。この恩恵に後輩であるハク君も預かることができ、吾輩に深い尊敬と惜しみない感謝を捧げてくれている。


しかし今季の大量の降雪には、参りかけた。納屋の中の段ボールの屋敷でも凍える危険が生じた。シモベたちは知恵を働かせて、彼らの住居に吾輩の居室を設置した。ゲンカンというところだ。外来者を迎えるスペースなので、さしずめ迎賓館のようなものであろう。通電により放熱する四角い板を敷いたトロ箱に、猫の大きさにあわせた敷物がかけてあり、腹も臀部も快適である。

さらに、この家のオバさんは、猫用の湿ったシートを用いて、吾輩のカラダを耳の穴まで拭き上げるのである。最初は驚きかけたが、威厳をもって応じてやっている。耳の穴は吾輩たちの前脚でも舌でも届かない部位なので、その掃除は実に心地よい。「ニャワワワワワ」と自慢の美声が出てしまうほどだ。美声をきいたオバさんは、ますます吾輩への奉仕に勤しむのである。
そんなわけで老いを知恵でカバーした吾輩は、美しい毛艶をさらに光り輝かせてしまっている昨今である。
キミたちもしたたかに生きたまへ
↑慣れたのではなく、人間が慣れさせられてしまったようです…(住職)
しまちゃんはてれやですね。
本当は、とても優しい温かい猫柄のネコちゃんなのを皆さんも良く知ってるでしょう。暑い夏の盛りに小さい黒猫が迷い込んできたとき、シマちゃんもおなかをすかせてたのに、自分のご飯を譲ってあげたね。それがご縁で、今では小さい黒猫はタリちゃんと呼ばれて、元気におうちで過ごしています。
おばたんが、お仕事から帰って来るのが遅くなったら、おうちの前の道で待っててあげてるよね。草とりの時も、働き過ぎないかなと傍に付き添ってじっと見守ってあげてるよね。
今も、寒い中を外にいる仲間の猫たちをお家へおいでと連れてきたげてるでしょう。
ハクちゃんには、あんかの入った箱に一緒に寝かせてあげてるし...とてもいい野良さんです。
優しいから、けんかの時にも遠慮して、相手をやっつけられなくて怪我していることもあるほどですよね。
そんなシマちゃんだから、おばたんに可愛がってもらえるんですね。
照れ屋だから、なんだかすごんで、あんなにエラそうに言ってるけどね。本心は違うのよね。
今日は、これを読んだカボが「母ちゃん、ホントのシマちゃんを紹介したげて」と言うので、書きましたよ。
カボはお空の上から見ているので、よく知ってるよと言ってます。
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