たくさんの方が別れを惜しみ、焼香のさい、涙されました。その嗚咽が読経する私の耳にも届きました。
霊場で荼毘にふす前、気丈に振る舞っていた息子さんが涙していました。お姉さんがそっとハンカチを渡していました。舅(しゅうと)さんは「ありがとう、ありがとう」。ご主人は涙、涙でした。
蓮如上人は、「老少不定のさかい」とお手紙に記されています。いつ誰が先に亡くなるのかわからないということです。現代においては、お年寄りから亡くなることが普通なのかもしれません。しかし、時としてそうならないこともあるのです。そして、悲しみはそれだけ大きくなるのです。
家事に、子育てに、そして仕事にと全力投球された日々。ご主人に「楽しかった。子どもたちをよろしく」との言葉を遺されたそうです。
「人は去っても その人の微笑みは去らない」
「人は去っても その人の言葉は去らない」
「人は去っても 拝む掌の中に帰ってくる」
尊く生き抜かれた故人さまを想い、合掌しました。