『佐々井秀嶺、インドに笑う』という本を読みました。

ヒンズー教が人口の圧倒的部分を占めるインドにおいて、実は仏教徒は1億5千万人を抱えています(国勢調査上は人口の0.7%、約840万人)。カーストの外に置かれた人々(不可触民・ダリット)が続々と仏教徒に改宗したからです。インド仏教徒の中心的な存在が佐々井秀嶺さんです。
佐々井さんは若き日、色情に悩み、自殺未遂を3回。山梨の真言宗寺院で師に助けられ、仏門へ。東京、タイ、そして導かれるようにインドへ。身分による差別を許さず、「貧しい人たちのために」と身を粉にして生きる姿を女性ライターの白石あづささんが、あたたかくぬくもりのある筆致で記し、一気に読ませます(初版は2019年)
・不法滞在で逮捕された際には、抗議署名が60万人から寄せられ、1988年にインド国籍取得
・1998年、インド政府の核実験に抗議し、国会議事堂前に向かってデモ行進。「こら!! バカ首相、でてこーい!」と拡声器で叫ぶ
・ヒンズー教徒によって管理されているブッタガヤ大菩提寺(ブッタがさとりをえた場所)の奪還運動
など、エピソード満載です。
白石さんの「仏教のいいところって何でしょうか?」の質問に、
佐々井さんは、「『無我』。『我がない』ということだ。自分よりも相手の気持ちを思うことだ。自分がお腹が空いていても、困っている人がいたら食べさせる。インドの仏教徒はそうだ」
好物はあんぱん。まるでアンパンマンのような佐々井さんの生き様です。