今日は葬儀をつとめました。長く施設で生活されていたご門徒さんで、残念ながら私はお会いしたことがありません。
昨日朝の臨終勤行のあと、娘さんから思い出話をうかがいました。しつけに厳しいお母さんで、曲がったことが大嫌いだったとのこと。「母に叱られて小屋からだしてくれなかったことも。となりのおばあちゃんが助けてくれました」「厳しくもやさしい母でした」。定年まで会社勤めをされ、退職後は野菜づくりに精を出していたそうです。
葬儀が終わり、お参りされていたご門徒さんから、「新しく仏壇を買うことになったので、ご本尊をよろしく」と声がかかりました。本願寺では免物(めんもつ)、仏壇に掛ける軸を扱っています。中央にご本尊、両脇にお脇掛けという形になります。軸のサイズは「代」で表します。
話をうかがいながら、先日読んだ記事のことが頭をよぎりました。
今年元旦の能登の地震で被害にあったある真宗ご門徒さんが、二百代のお仏壇を廃棄せざるをえなかったという内容です。二百代というのは、軸の大きさ縦約80センチ×横約30センチです。さぞかし立派なお仏壇に違いありません。手放すことになったご家族も残念な思いでいらっしゃることでしょう。
火葬場に移動し、荼毘にふし、最後はお寺での還骨法要です。蓮如さんの「白骨章」を拝読。
「それ、人間の浮生(ふしょう)なる相(そう)をつらつら観ずるに、おおよそはかなきものは、この世の始中終(しちゅうじゅう)、幻の如くなる一期(いちご)なり」
本当にその通りなのです。
法要が終わり、昨日お預かりした過去帳にお母さんの法名、お名前を記載してお返ししました。亡き方をごえんに、施主さんご家族がご本尊に手を合わせられることでしょう。
合掌