明日、あさっては葬儀になりました。唄が上手なご門徒さんで、網代の盆踊りはこの方の発声からはじまったそうです。もしかしたら、幼い頃に聞いたことがあったかもしれません。今は唄える方がなく、昔のカセットをかけて踊るのだとか。
親せきのご門徒さんいわく、「カセットは、おっつぁんの声かもしれんで」
尾崎翠の短編「初恋」は網代の盆踊りがその舞台です。こんな一節があります。
「代わりましたる音頭の何とかはーと徐ろにやりだすと円の運動がピタッととまって、踊り手は円の内側に向直った。そして手を拍つ身構えをして、鎮まり返ってしまった。真打の民さんに対する特別敬意らしい。民さんは二分間ほど音頭の序文をやる。序文が済むと踊り手は一斉に『ヨイヤ』と拍手で迎えて本調子が始まった。荘重な美声で、静かに縷々と説く。踊りは緊張した」
ご門徒さんは、ここに登場する民さんのような存在だったのでしょうか。
網代の地蔵盆は8月16日に予定されています。私も元気があれば花火を見物に行きたいと思います。