今日の放送では、星判事が胸に抱えていた戦時中の苦悩を告白するシーンがありました。総力戦研究所に所属していた彼は、そのメンバーたちで構成された模擬内閣で、戦争のシュミレーションを行い、アメリカと戦争をした場合、「敗戦」は避けられないとの結論を導き出し、政府首脳に報告するのです。
もちろん、そのようなシュミレーションが、当時の天皇制政府に受け入れられるはずはありませんでした。
止められなかったことが結果的に、多くの人の命が奪われることにつながったことに責任を痛感し、自分を信用できないと責め続ける星判事の姿を「虎に翼」は描きました。
この物語は史実に基づいているようです。モデルの三淵さんは実際にこの研究所で模擬内閣の法務大臣を務めておられます。
世界のあちこちで戦の火が消えません。中東では、イスラエルとイランの間に緊張が高まっています。
「人類がまだ埋葬していないものの代表は戦争である。その亡霊は白昼横行しているように見える」(中井久夫『戦争と平和 ある観察』より)
一度始めたら容易に止められないことを肝に銘じ、そうならないために努力し続けなければならないとドラマを見て思いました。
