昨日、お世話になったご門徒さんが往生され、葬儀となりました。1月の中旬にお寺にお見えになったのがお顔を拝見した最後でした。
10代で東京に出て、20代で事業を起こされ、退職して親の介護のため東京からUターン。趣味のゴルフを楽しみ、来訪者によく吠える番犬としての自覚の高いワンちゃんを可愛がっておられました。私も何回か吠えられたものですが、ご門徒さんは、「住職を歓迎しているんですよ。好きな人に吠えるんです」と笑っておられました。そのワンちゃんは、飛行機に乗って息子さんの住む首都圏で生活を送っているそうです。
昨日、あらためて人となりをうかがいました。
「人の悪口をいっさい口にせず、『あれは、あれでいいんだ』といってました」
違いをせめたり、批判の対象にするのではなく、認める、これは簡単なことでありません。
ご門徒さんとは短いお付きあいではありましたが、和やかで人なっこい方だなと思っていました。お寺のことについても、いろいろと気を配って下さる方でした。その理由がこういうところにあるのだと学ばせていただきました。
それで思い出したことも。
「お寺の掲示板」を集めた書籍の中で、昭和の大スター石原裕次郎さんの言葉、「人の悪口は絶対に口にするな」が紹介されていて、ハッとしたことがあります。

その言葉には続きがあります。
「人にしてあげたことは、すぐに忘れろ。人にしてもらったことは、生涯忘れるな」
本の解説文によると、悪口は相手とそれを口にする自分自身をも切るものです。悪口をいつもいっている人は自己肯定感が低くなる傾向にあるそうです。