午前中の法事にお参りのIさんは、朝、バスに乗り、スーパーで買い物、その際にスポーツ新聞を購入することを楽しみにされています。
私よりも年季の入ったタイガースファンです。
「住職、優勝してよかったですなあ。オリックスには勝てんと思っていたから」「そうですねー。ほんとよかったです。2点差をひっくり返して6対2で勝った試合はすごかったですね」。
久しぶりのセリーグ優勝と、38年ぶりの日本一を喜びあいました。
この1年というもの、手をあわせ、「南無阿弥陀仏」「ナンマンダブ」と口にされる機会が多かったと思います。長年連れ添われた奥さんが、昨年ご往生されたのです。
南無阿弥陀仏とは仏さまのお名前です。名号(みょうごう)ともいわれます。
「号」は「號」とも表記します。「名」は分解すると「夕」と「口」です。
夕方、薄暗い時間に見知らぬ道を歩いていると、虎のような大きな声で「おーい、おーい」と私をよぶ声が聞こえたらどんなにか嬉しく、ほっとすることでしょう。
私たちのことを心配し、「必ず救いますよ、ナンマンダブ、ナンマンダブ」とよんでくださっているのが仏さまであり、諸仏の一人となられた亡き方ではないでしょうか。
そんなお話をさせていただきました。
「毎日、仏さんに手をあわせとるです。心が落ち着きますなあ」
タイガースファン同士が、悲しいご縁を通じて知りあい、同じナンマンダブを称えて生活しています。
Iさん、またタイガースについて語りあいましょう。どうかお元気でお過ごしください。