
映画「こほろぎ嬢」をはじめて試聴しました。尾崎翠の原作を浜野佐知監督が映画にした2006年上映の作品です。
浜野佐知さんが来県され、イベントの司会進行もつとめられました。
現実と空想のクロスを楽しむ作品でした。最後は苦き地上(長き戦争)と自由な地下室(心の世界)の対比です。そして心は広い宇宙・世界と繋がっていることが「こほろぎ嬢」から語られます。ふるさとの美しい風景を楽しむこともできます。
映画から、見えないものを見る心の豊かさ、「異端」のものへのあたたかいまなざし、心の自由を大切にというメッセージを受け取りました。時折、睡魔に襲われつつ…。
映画の後は音楽の時間。映画音楽を担当した吉岡しげ美さんのピアノにあわせ、主演の鳥居しのぶさんが翠の詩を朗読しました。
そして金子みすゞコーナー。吉岡さんは40年ほど前からみすゞの詩に曲をつけて歌っています。みすゞは翠さんより7歳年下ということです。「大漁」「南京玉」「こだまでしょうか」「ひのひかり」「私と小鳥と鈴と」。共に生きるものへの共感・共鳴です。
最後は、ゲスト3人のトーク。浜野監督は、翠が教員時代に教わった生徒から聞いたエピソードを紹介されました。「『こんな女の歌う歌は歌えない』という男子生徒に翠先生は、『男も女もない。歌え』と首根っこをつかんで歌わせた」。翠の人生を、「自分らしく生きるいさぎよさ」と評しました。すごい尾崎翠愛。熱かったです。
主催した岩美町、そして来県されたゲストのみなさんに感謝。尾崎翠を次代につないでいかないといけないですね。そういう値打ちある人、作品なのだなと改めて学ばせていただきました。DVDを購入したので、じっくり鑑賞します。
残念だったのは若い人が少なかったこと。中高生に参加して欲しかった!