2017年にノーベル平和賞を受賞したICANとともに活動する被爆者・サーロー節子さんの『光に向かって這っていけ』を読みました。

私は13歳の時に被爆した。命からがら生き延びたが、倒壊した建物から逃げ遅れた同級生たちは生きたまま焼かれた。混乱の極みの中で、姉と甥を荼毘に付した。
一人一人の尊厳がないがしろにされる、その究極形こそ、核兵器という最悪の無差別殺傷兵器の使用がもたらす破壊なのだ。
13歳の少女だった私は、煙が上がるがれきの下で生き埋めになりながら、力の限り、光に向かって前に進みました。そして生き延びました。今の私にとっての光は、核兵器禁止条約です。諦めるな。前に進め。光が見えるだろう。それに向かって這っていけ。
核兵器を使う場合があるという発想自体、大量殺戮を国家安全保障の名の下に「是」とする価値観が潜んでいる。よく考えると恐ろしい人間の所業だが、命ずる者も実際に手を下す者も往々にして、冷酷な鬼ではなく、普通の人間である。
沈黙は悪い政治を続けさせることであり、日本の核兵器禁止条約参加への道が一歩も進まないことを意味する。
「平和とは、ただ戦争が存在しないというだけではない。すべての人に社会正義をもたらそうとする努力のプロセサスである」。人生の最後の瞬間まで、前に進む。
彼女の言葉は重く、胸を打ちます。
核兵器のない世界を。