京都にある中央仏教学院から「中央仏教学院報」が届きました。毎号、読ませていただいていますが、2面を開くと、3年前、授業でお世話になった野世真隆さんの講演のほぼ全文が3ページにわたって掲載されていました。
野世先生のお話は、現実社会と切り結んだ話題が多く、お寺にうまれながら、お寺をとりまく社会状況についてほぼ白紙だった私にとっては知らないことをたくさん知ることのできた貴重な時間でした。私が書いた拙いレポートを「よく書けていましたよ」とおっしゃってくださるような心優しい方であったと記憶しています。
今も教訓にしている教えがあります。「時間に余裕をもって式場に到着するように」「葬儀会社に控え室に案内されて、そのまま部屋にいるような僧侶になってはダメです」。まず、ご家族へのあいさつ、式場の下見など、きちんと行いなさいということです。当たり前のことではありますが、先生の指摘を思い返して、いつも心がけていることです。
野世さんのお話は、大要、次のような内容でした。
①儀式、お勤めの仕方が大きく変化し、コンパクト化が進んでいる。
②楽しみの持ち方が変わってきているけれども、阿弥陀仏の教えにふれる楽しさは、一時的な楽しさではない。いかにその楽しみをいただくことをめざすか。
③三世代家族から2人、1人家族へ。その一方で東京への一極集中。家の宗教から個人の宗教へと変わってきている。
④僧侶一人ひとりが、どのように親鸞聖人のみ教えを伝えていくのか。一人ひとりが考えていく中で打開策を見出していこう。
うなづきつつ読ませていただきました。②は、人生そのものを支える楽しさでしょう。楽しみが多様になっている中で、工夫もしながら④を自分なりにみがいでいくことで、多くの方とみ教えにふれる楽しさを共有していきましょう、ということになるでしょうか。
同封されていた同窓会の会報には、同じクラスだった方の仏前結婚式の写真が掲載されていました。社会人生活のなかで苦労もされ、親鸞聖人のみ教えに出会い、学院に入学してきた若者でした。Uくん、おめでとうございます!