大正に生まれた方の葬儀をつとめました

昨日は100歳近い女性の方の葬儀をつとめました。また一人、大正生まれの方がお亡くなりになったのです。

私自身は元号へのこだわりはとくにありません。それでも、ブログにも何回か書いてきた通り、大正生まれの方のご苦労を決して忘れてはならないと思っています。

西法寺のご門徒で、戦地に赴き、いのちを失った方の大半は大正生まれです。大正に生まれた日本男性の約7人に1人は戦死しています。

戦後も苦労された方がほとんどでしょう。

昨日、葬儀を勤めさせていただいた女性の方は、昭和24年に海の事故で夫を失われたそうです。なんの補償もなく、幼いお子さんを祖父母に預け働きに出られたとのこと。「母から愚痴を聞いたことは一度もありませんでした」と息子さんはおっしゃっていました。

お住まいのところから数キロ離れた墓地に歩いてお墓参りに向かわれる姿をみることもあったと親類の方から伺いました。若き日に別れた夫に声をかけていたのだろうか、どんな思いを抱えて生きてこられたのでしょうか。詳しくお話をうかがったことはありませんでしたが、「ほんとうに長い間、ご苦労様でした」と声をかけてからお経を読みました。

合掌

ささえてくれる人

坊守です。
きょうはおやすみでしたので、朝一番は本堂のお花をして、葬儀のお勤めのしたくを手伝いました。普段はフルタイム労働者なので、お花くらいはさせてもらおうと思っているのですが、きょうも1種類、名前が分からないまま使った植物がありました。まだまだまだまだ勉強。

さて、自宅に戻ると、細長い包みが届いていました。和歌山にいる私の実母の従姉妹のK子さんからです。「K子さんからの細長い物ならきっと…」と予想しながら開けると、やはり、中身は輪袈裟でした。秋冬のものを届けてくれたのです。

住職の好みの色に草文様が入っています。お礼をいうと「輪袈裟は何本あっても邪魔にならんでしょう」と、朗らかな声が返ってきました。
K子さんは、同じ宗派のお寺で、坊守をしていました。いまは息子さん夫婦に役を引き継いでいますが、なにかにつけ、我々を気にかけてくれています。

勤め人から急きょ、お寺に入ることになった私たちが頼りなくてハラハラさせているかも知れませんけれど、この進路を手放しで喜んでくれた大先輩がいることが、私にはどんなに心強いか、言葉にはできません。
ちょうど3年前の今ごろ「浄土真宗のことをわかりやすく書いた本ですよ」と、京都の本山で選んでくれた本がどっさり届いたように記憶しています。
これも、阿弥陀さんにまもられた同朋ならばこそのあたたかさでしょうか。

「困ったこと、分からんことがあったら、なんでも言うちょいで(言ってきなさい)」という御守りのような言葉が、今後も支えのひとつです。
この輪袈裟をみるたび、フワッと心があたたかくなるんだろうな。

岩美町への移住者、4年間で449人

昨日、参加しているまちづくりの会の定例会がありました。役場の方より地域総合戦略について説明があり、その後、質疑応答も。

わたしもせっかく参加しているので、発言しました。「県外からUターンした人への住宅リフォーム助成上限200万円補助はすばらしい制度です」と町にまず感謝。ついで雇用対策や6次産業(生産・加工・販売を一括して地域で行うこと)について質問しました。

総合戦略には記載がありませんが、鳥取県の最賃の低さ・全国最低の792円も、若者が定住しづらい要因だと思います。国保も高すぎます。このあたりは県や町でなんとかできる話ではなく、地方創生というのならば、この辺りに手をつけて生活への不安を和らげないとと感じます。総合戦略には、岩美町として出生率2.07を目指すとしています(どの自治体でもこのような数値が掲げられているのでしょう)。夢を語るのもいいけれど、現時点ではあまりにも空想的でしょう。

岩美町は過疎の町ですから人口は減少傾向です。しかしそのなかでも4年間で移住者が449人にのぼるとのことです。それだけ魅力があるってことでしょう。

11月には会として町長さんとの懇談をおこなうそうです。直接、意見をだせる良い場だと思うので、岩美町を巡りつつ、ご門徒さんからも声を聞かせていただいて懇談の場に出席したいと思います。

今更ながら

習字教室でひらがなを一から教わっています。結びがなかなかうまく書けず、次回はまず、このお手本を参考にということに。

お手本のひらがなのうち、は、ぬ、よ は平結び。な、ほ、ね は三角結びというそうです。

「は」はもともと波からきています。「ぬ」は奴から。両方とも又が含まれていますが、平結びはそれからきているそうです。

他方、「な」は奈、「ほ」は保、「ま」は末、「ね」は袮からきています。三角結びは木、小からきているとか。たしかに漢字に含まれてます。

なるほどー。

しかし、こんな基本的なことも知らずにひらがなを長年書いていたとは…。

しくみがわかっても字がうまくなるわけではありませんが、勉強になりました!

阿弥陀さんのお引越し

このほど新居に引っ越されたご門徒さん宅で、入仏のお勤めをしました。以前は農地だったところが造成され10軒ほどの家ができていました。バイパス、スーパーや病院も近く、町内でも利便性の高い場所です。

玄関から入ると広いリビング。その一角に仏壇を置けるスペースが確保され、仏壇の前には琉球畳が敷かれていました。

「40年以上前に、母と折半して買った仏壇です。」とご門徒さん。まだ引っ越し作業は終わっていないそうですが、「仏壇の引っ越しが終わってホッとしました」。

新しい家でも仏壇の存在感は圧倒的です。家に芯があるっていう感じがします。

いっしょに『阿弥陀経』をあげ、新しい家にやってこられた阿弥陀さんに頭を下げて帰りました。

西法寺通信第6号ができました

昨日、通信が刷り上がり、まず鳥取市内のご門徒さん宅に先ほど郵送を終えました。あすから町内に配布です。

ここ最近、仏壇のお飾りについて尋ねられることがよくあります。仏壇は大小さまざまで、並べることのできる仏具の数もそれによって違ってきます。ですが本願寺派のお仏壇はご本尊を三具足(みつぐそく)で飾ればお仏壇になります。三具足とは、向かって左から、花瓶(かひん)、香炉、ろうそく立です。

礼拝の対象はご本尊ですから、それが見えづらかったり、いちばん目が行くのが亡き方の写真だったり、位牌だったりするとご本尊が目立ちません。真宗のお仏壇で、写真や位牌を置かないように(そもそも真宗には位牌がありませんが)といわれるのは、仏壇で手を合わせる対象はご本尊であるからです。稀に神社のお札や別の宗派のご朱印帳が飾られているお仏壇もあります。私は外してくださいとはいわないようにしていますが、阿弥陀さんも苦笑しておられるのではと思います。

通信に掲載した写真とご自宅のお仏壇を見比べていただけるとうれしいです。アレンジはあってもよいのでしょうが、基本は押さえたほうがキレイなお飾りになると思います。

なお、わたしは他宗のお仏壇のお飾りは分からないので、質問いただいても返答できません。

さて、きょうは良い天気で、午後から網代道場の草刈りもできました。しかし、一度で終わらず、あさって習字教室のあとにでも続きをしたいと思います。このまま晴れが続けば良いのですが。

満洲から帰ってきた両親

昨年、京都の西本願寺参拝ツアーにも参加されたご門徒さんが昨日、お父さんの法事でお参りでした。お寺の掃除にもきてくださったりと、何かとお世話になっています。

私自身はご門徒さんのお父さんのことを存じあげません。どんなお父さんでしたかと聞いてみると、「父は戦前、満洲鉄道で働いていました。赴任する前に親が写真で決めた結婚相手とともに祝言をあげたそうです。大陸に仕事で行った人は県内に他にもいたようです。父母は敗戦とともに引き揚げ、父は戦後、国鉄に勤めていました」と。

コロナの影響もあり、法事の後にお茶を飲んだり、談笑したりといった時間がとれなくなっていますが、昨日は貴重な話を聞かせていただきました。

岩美町のコスモスロードはいま見頃です

ナモの日記(10月)

ナモです。

だいぶすずしくなったからと、おばたんがえんがわに、ベッドをおいてくれました。ベッドはみっつあるけど、ねんねしたいとき、たいていここにきています。


おにわにくるとりさんをみはるのにべんりです。大きいトリや小さいトリがあそびにきますが、とったことがありません。おうちのてんじょうにいるヤモリは、ぽーんととびあがって3つとりました。
くちにくわえて、とったよーと、おばたんのおふとんにもっていってあげたら、おばたんは「きゃあ!」といって「かわいそうだから、とったらだめ」とおこりました。
ムカデをみつけたら、ほめてもらえます。あしがいっぱいはえているので、あしおとがします。このまえは、ねているおいたんのうでをはったので、にゃー!にゃー!とおおごえで、おいたんをおこしました。このなつは、6ぴきみつけました。
あたいは、ふすまをびりびりしたり、かけじくにとびついたり、おふとんにチッチしたり、いたずらねこですが「これでちょうけしだよ。けいびいんさん」と、おいたんはいいました。


おしごとちゅうに、ねむくなることもありますが、がんばれば、だっこしてもらえるのよ。いいでしょう?

お寺の掲示板(10月)

数日前から、「消えてしまいたい」と悩んでいる人に何が伝えられるのかと考えていました。

話をうかがった上で、

「きみは一人ぼっちなんかじゃない」

それならわたしにもいえるのではないか、と思いました。

☆悩みを抱えている方へ 相談窓口の情報

「日本いのちの電話」

▽ナビダイヤル「0570-783-556

午前10時~午後10時

▽フリーダイヤル「0120-783-556」

毎日:午後4時~午後9時

毎月10日:午前8時~翌日午前8時

衣替えの季節

朝から仏壇のお引越しと法事でした。中学時代の級友とのうれしい再会もありました。

さて、昨日から10月に突入しました。僧侶の衣も秋冬バージョンに変更です。白衣、布袍、黒衣、五条袈裟、七条袈裟、袴とすべて厚手のものに。首にかける輪袈裟も秋冬らしい色合いのものになります。

威儀を正すという言葉があります。「威儀というのは、、、」と身に付けた五条袈裟を示しつつ、「姿勢を正すという意味ですが、実は威儀というのは、袈裟の肩上から前後に通じる平絎(ひらくげ・芯の入ってないという意味)の紐のことなんです。威儀を正して身なりをととのえるっていうところからきていることばだということです。衣替えしたばかりで、しっくりきていないんですが、威儀を正しておつとめしないといけないですね」という話から法話をはじめました。

それにしても月日の巡りの早いことといったら…。