午後、鳥取市内で講演をききました。講師は元イスラエル空軍兵・ダニー・ネフセタイさん。1957年イスラエル生まれ。徴兵制により入隊。空軍で3年間兵役を務めました。
「国のために死ぬのは素晴らしい」と教えられ入隊したダニーさんは、幼少のころから空軍パイロットになることを夢見ていました。それは果たせず、「今になって思えば爆弾で人を殺すことなくラッキーだった」と。
イスラエル軍により破壊されたガザ地区の写真に胸が痛みます。
ダニーさんは退役後、旅で訪れた日本に移住し、秩父で木製家具づくりをはじめられました。平和活動をはじめた転機は、2008年、イスラエルが行ったガザへの空爆だったそうです。司令官は軍隊時代の同期の人。「普通の人だった。ショックだった」
印象的だったのは、「気づき」です。40数年前に代々木公園で敵だと教え込まれたシリア人と初めて出会います。「日本人はなぜこんな危険な人を入国させたのか」と驚いたそうですが、話してみると「敵と思っていたもの同士が、同じ人間だったのだと気づいた」というのです。
若い頃、ベトナム帰還兵のアレン・ネルソンさんの講演を聞いたことがあります。「人間ではない」と教えられたベトナム人の出産シーンを目撃したことがあったそうです。アメリカ兵への恐怖から、へその緒をちぎって女性は逃げていきました。「同じ人間だったのだ」という衝撃が、アレンさんを語り部の道に向かわせたのです。「フラッシュバックが襲うので、ギターを弾いて心を落ち着かせてから話すのだ」という姿に、戦争の悲惨さを感じました。ダニーさんの話を聞きつつ、そのことを思い出していました。
ダニーさんは全国各地の大・小中高校で講演されています。来週は北海道の利尻島へ。書籍でも平和を訴えています。「戦争をずっとしているように教えられるが、いま実際に戦争しているのは人口の2%。戦争は本能という人もいる。それならなぜ隣の人を殴らないのか。本能じゃない」
日本の防衛費は8.7兆円。ダニーさんは「1秒あたり28万円」と。新しい首相はさらに増額し、アメリカの兵器を買うようです。
開演前、坊守につれられてダニーさんにごあいさつする機会がありました。今年は東本願寺で講演し、それ以降、お東さんの寺院に招かれるようになったとよろこんでおられました。僧侶にこれからもカツを入れてください。
今日の会は、鳥取医療生協の大学習会で、若い職員さんが多数参加していました。隣に座られた専務さんによると、病院に最低限の職員をのこしてこぞって参加しているとのことです。
主催者の挨拶は寺では坊守の鳥取医療生協教育部長が行いました。話は滑ってはいなかったように思います。