「感謝の気持ちを持って」

葬儀が終わりました。私が導師をつとめた葬儀の中では最も参列した方が多かったように思います。地元岩美町選出の県議会議員として25年に渡って活躍され、郷土のため、鳥取県のためにと駆け抜けたご生涯でした。県知事さん、元岩美町長さん、そして故人さまが長年会長をつとめたソフトボールリーグの代表の方が心のこもった弔辞を述べられました。200人近い方がいらっしゃったと思います。焼香にも時間がかかります。いつもよりゆっくりと読経しました。寄せられた弔電は60通にもなったそうです。

葬儀会社の担当の方が、故人さまの家の近くにある沓井(くつい)大橋の写真を大きく引き延ばして会場の入り口に飾られました。橋の歩道に4箇所、バルコニーが設置されている珍しい橋です。このアイディアは故人さまによるものです。2018年の春に、岩美町にUターンして橋を渡った際、網代の海の美しさに感動するとともに、「バルコニーに座って眺めてください」という心遣いに感じ入ったものです。それが故人さまの発案であったことを著書で初めて知りました。そのことを奥さまがご往生した5年前の葬儀の際に、「実は著書を読ませていただいて」とお声がけすると、「そうですか。あれはねえ」とそのいきさつを教えてくださいました。懐かしく思い出します。

底曳船のリース化で船主さんの負担軽減に道を開いたこと、峠道に消雪装置をつけたこと、などなど、住民の願いに応えて、不可能と思われることも粘り強く訴え、多くの賛同をえて実現してこられました。

若い頃は青年団活動でご活躍。沖縄での遺骨収集に参加され、「二度と戦争はしてはならない」という平和の思いを信条にされていました。網代には青年団で知り合って結婚されたという方がたくさんいらっしゃいます。

軟式野球連盟会長として子どもたちに挨拶する際、常に、「感謝の気持ちを持ってほしい」とお話しされていたそうです。それを受けて子どもたちが選手宣誓で「野球ができる感謝の気持ちを忘れません」と宣誓する姿を見て喜んでおられたといいます。

ウソが拡散し、分断と排除の論理が社会を不気味に覆う今、故人さまのご生涯のご苦労を忘れずに、受け継いでいかなければと心に誓った今日の葬儀でありました。

手製の経本作り

通夜・葬儀の参列者用に経本をお手元にお配りしています。ずいぶんくたびれてきたので、作り直して業者さんに印刷をお願いしようと思っていたのですが、なかなか作業にもかかれずでした。

古くなったり汚れたりして使えなくなったものもあり、手元にあるのは30冊ほど。今日から葬儀がつづくことも考えてプリンターで印刷して20冊ほど追加で作りました。

明日の葬儀は50冊では足りないと思いますが、ご容赦願います。

きちんとした経本をつくることを今年の目標に加えたいと思います。