福島原発から24日、アルプス処理水の放出が始まりました。この数日、海外メディアや日本メディアの報道をふだんより注視しています。
日本のメディアは処理水と報じているわけですが、イギリスBBCなど海外メディアは汚染水(Radioactive contaminated water)と報じています。
日本政府と東電は、安全性をアピールし、風評被害ばかりを問題にしていますが、原発事故の処理水を放出するのは世界初のことです。トリチウムは希釈して基準以下にしての放出ですが、それ以外にもさまざまな放射性物質が放出されます。安全神話で大失敗したのが原発事故だったということを忘れないようにしないといけません。
環境団体などが海洋放出ではない処理方法を提言するなどしてきましたが、まともに検討されることはなく、いちばん安価な海洋放出となったようです。ただ、処理水は莫大ですし、原発敷地内への地下水の流入を遮断できていないので放出の期間は30から40年にもおよび、総額は1200億円と見積もられているそうです。
福島の復興のためと日本政府は主張しますが、復興を担っている漁業関係者はつよく反対しています。「関係者の理解なしに処分しない」という従来の約束は完全に反故に。「聞く力」は言葉だけのようです。
中国からの抗議が殺到している問題は、日中両政府が対立をあおらない立場でのぞまないと、被災地の人々を悲しませるだけでしょう。中国の一部の方たちが、日本政府の決定とその施策にほんろうされる人たちを同一視して非難していますが、間違いです。国内世論は政府の説明に納得していない人が大半、放出の是非も賛否がわかれています。
放出ははじまったばかりです。英知を集めて海洋放出ではない方法をとるべきではないでしょうか。