103歳のご門徒さんが往生され、午後、臨終のお勤めにうかがいました。
大正10年生まれ。6人兄妹の3番目、きょうだいの一人は戦死されています。
「きょうだいで80まで生きたもんは他におらん。ばあさんは、他のもんの分まで生きた」と甥っ子のYさん。
若い頃から働き、同じ集落内に嫁がれました。昔は、嫁ぐ際に、箱仏壇を持たせたそうです。小さい仏さんのこと。私は見たことがありません。仏さんを大事にする風習があったのでしょう。「学校に行く前に、仏さんを拝んでいかなかったら、親から怒られたと母が言っとりました」と娘さん。娘さんといっても、お孫さんもいらっしゃいます。103年の人生というのは、なかなかすごいです。
3人の子どもを育て、おばあちゃんになってからは、お孫さんを長く育てられたそうです。「何をしても怒られた」「甘やかされました」。おばあちゃんは、厳しくも優しかったのではないでしょうか。明日は、そのお孫さん2人が枕元で一緒に過ごすそうです。
娘さんがおっしゃいました。「入院した時に、『京都参りに行ってきたで』と手紙を託したら、『2人(夫婦)で参っただか』と言っていたそうです。最後まで頭ははっきりしていました。父も大谷本廟(京都)に納骨したので、母もそうしてあげたい」
5月末、漁の時期が終わり、お盆が過ぎ、8月31日には、また漁がはじまるというのが海のサイクルです。以前は、お盆が過ぎたあと、多くのご門徒さんが本山参りをされていたそうです。故人様も、ずいぶん前に生前法名を本山からいただいていました。今、法名が記された紙を眺めて、そこに込められた仏さまの願いを味わっているところです。
来週は、娘さんと旦那さんが揃って、西法寺で法名を受けられます。
「28日だったら、大変なことだったで。ばあさんは、ちゃんと分かってる。大したもんだ」と、同じく法名を28日に受けられる甥っ子さん。
念仏者の大先輩でもある故人さまの思い出をうかがい、本当に気持ちが入りました。