今日は網代で水産加工業を営むご門徒さんにお参りいただきました。お仏壇は加工場の3階、今年86歳になるお母さんが寝起きする部屋にあります。お母さんは現役で働いています。午後から来られたので、午前中は仕事だったのでしょう。そういえばカニは今日で漁は終了。最近はホタルイカが旬です。
お母さんは一緒に読経され、焼香のさいは、「お父さんの顔が思い出されます。なんまんだぶなんまんだぶ」とお念仏申しておられました。今日はお父さんの33回忌でした。
息子さんは「お経本をひらいた記憶がない」とのことです。そんなことはないと思うのですが、読み方や漢字についていくつか質問されました。これも亡きおじいさんの導きかもしれません。
「住職は網代をよう歩いておられるけど、昔のことを覚えておられますか」と。私が住んでいたのは4歳ごろまでです。「海の前にアパートがあったことは覚えてます。隧道(ずいどう)のトンネルが怖くて、向こうにいったことはなかったです」。と、こんなやりとりから昔話になり、私の話の出番はなくなりました。法話は割愛、原稿を持ち帰っていただきました。
「うちの仕事も時代とともに変わるけど、お寺も昔のままではうまくいかないこともあるだろうし、大変ですね」と息子さん。
昔から続くことの上に、新しいことにも取り組んでいければと思う次第です。