ロシアがウクライナへの侵略戦争を開始してから1年が経ちました。
この間、本堂の募金箱に寄せられたウクライナ人道支援募金を朝、郵便局から赤十字に送りました。募金が何らかの力になればと思う反面、もどかしさを感じます。終結には程遠く、いったん戦争が始まれば止めることは容易ではないことを日々、思い知らされているからです。

最近、アインシュタインとフロイドの往復書簡をまとめた『ひとはなぜ戦争をするのか』という本を読みました。

アインシュタインは「戦争を避けるためにはどうすればいいのか」とフロイトに手紙を送ります。対するフロイトは、欲望を暴力ではなく、文化の発展に向かわせることで戦争を拒否する個人を育てる、戦争を拒否する心を育てるというものです。
そして、「文化の発展を促せば、戦争の終焉へ向けて歩み出すことができる!」と手紙を結んでいます。
手紙の解説を精神科医の斉藤環さんが書いています。
「嘆く必要はありません。私たちは世界史レベルで見ても最高度に文化的な平和憲法を戴いているからです。フロイトすら思いもよらなかった戦争解決の手段、すなわち『戦争放棄』の文言が燦然と輝いています。この美しい憲法において先取りされた文化レベルにゆっくりと追いついていくことが、これからも私たちの課題であり続けるでしょう」
いま日本は、防衛費を2倍加し、世界第3位の防衛費をもつ国に向かおうとしています。
戦前の日本はアジア諸国に攻め入る国でした。戦後は平和憲法のもと、70年以上にわたって他国と戦争しない国として存在し続けています。闘争本能ということばがありますが、戦後の日本人には平和本能とでもいうべきものが組み込まれているのではと思います。みなさんもそうではありませんか。
そのことを政府は見誤っているのではないでしょうか。