本堂での報恩講に32人のご門徒さんがお参りでした。30席のイスでは足りず、イスを追加してのお勤めです。

講師は出雲覚専寺の住職・佐々木俊教さん。最近では北海道を回ってこられたとのことです。
豊富な引き出しをお持ちで、ノートに資料をたくさん挟んでおられました。きょうも直前まで法話の準備をされていました。
全てを再現することはできません。佐々木さんのお話からひとつだけ紹介します。

1975年、イギリスのエリザベス女王が来日されたときのこと。各地の寺社仏閣を訪ねてまわったのです。その際、「ここでは何をお祈りされているのですか」と聞かれました。本願寺にお見えの際、当時のご門主は、「人間がおいのりする場ではありません。阿弥陀さまが先手をかけて十方衆生を救おうと働いてくださっています。その阿弥陀さまの願いを聞かせていただく場です」と説明されました。女王は、「私もですか?」と。ご門主は「もちろんです」と応じられました。すると女王は、帽子をとって丁寧に頭を下げられたそうです。
「迷い続けるこのわたくしを救ってくださる教えは、これしかありません」と佐々木さん。
お話を聴きながら、思いました。
自分の欲望を満たすために仏さまに手をあわせるのではないのです。こんなお恥ずかしい私をめがけて「必ず救うぞ」とはたらき続ける仏様に感謝し、せめて、その真似事でもさせていただかないと申し訳ない、もったいない。そんな気持ちで生きていける、生きていこうと。
親鸞聖人が800年近くも前にあきらかにされた教えは、不思議なことに現代を生きるこの私にも届いているのです。胸を打つのです。
今日は、はじめて報恩講にお参りされたご門徒さんもいらっしゃいました。「お誘いいただいてありがとうございます」とおっしゃられる方も。
「しんらんさま」を歌って報恩講は終了です。胸が詰まって涙されていた方もいらっしゃいましたが、みなさん笑顔でおかえりでした。
よくお参りいただきました。
