
としをとることも喜びだ 今までわからなかったことが 少しずつわかってくるから
仏教詩人、榎本栄一(1903-1998)さんの詩です。
みなさんはどうでしょうか。
「愚者になりて往生す」との法然聖人の言葉を、親鸞聖人は最晩年88歳の時に書かれた手紙に記しています。
愚者とは頭が悪いという意味ではありません。欲にかられて我を見失ったり、都合の悪い人を排除したり、他者を傷つけたりといった愚かさのことです。自分自身が愚であるという自覚を持つことはなかなか難しいですよね。誰だって人によく見られたい、自分は間違わないと思って生きているのですから。
榎本さんはそういう自分の姿を直視し、愚かな私を救い取ろうとあくことなくはたらき続ける阿弥陀仏への感謝をこのように詠まれたのかなと想像しています。
愚者であることを知ると、まわりの人を見る目もかわると思います。そのことを私に気づかせてくれた仏さんに自然と頭が下がるのではないでしょうか。
榎本さんには次のような詩もあります。
肉体はおとろえるが こころの眼がひらく 人間の晩年というものはおもしろい 今日まで生きて いのちの深さがみえてきた
ホントにととのった字ですね。きれいな字で書かれたものは、読みたくなりますね。
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