クラスター対策班で活躍された西浦博さんの著書『新型コロナからいのちを守れ!』を読みました。流行の初期から第一波を乗り越えるまでの記録の書です。

数理モデルをもとに、我々の行動がどのようになれば流行のピークを抑えられるのか、そんなことを日本人が考えたのは初めてのことでした。
科学者としての苦闘と努力、政治家や官僚とのやりとり、数理データから導かれる私たちの行動変容の必要性をどう伝えるのか、など、ご本人の胸の内を知ることができます。
感銘を受けたのは、「人間として誠実であることを忘れず」行動するように心がけていた、という西浦さんの人柄です。また西浦さんが語る尾身茂さんの姿にも胸を打たれました。「利他の精神が勝っているというのが、この人の生き様なのだろうと僕は思っています」
お釈迦さまにこういう言葉があります。
「他人の過失をみるなかれ。他人のしたことと、しなかったことを見るな。ただ、自分のしたことと、しなかったことだけを見よ」
自らのやるべき仕事を深く自覚し、パンデミックに果敢に挑んだ研究者の記録の書です。深く学ばされました。