お通夜、葬儀がありました。
臨終勤行をつとめた際、過去帳を拝見しました。
過去帳というのは、御往生された方の氏名、ご法名などを記載した小さな法具のことです。
最初のページからめくって拝見していたのですが、昭和19年に亡くなっている方がいらっしゃいました。故人のお父さんでした。年齢は30代前半、戦死です。末の妹さんは当才で亡くなっています。当才とは生まれた年に亡くなった、ということです。
遺されたお母さんは、戦後、ご苦労されたことと思います。そして、幼い頃に父を失った故人も、どんなに大変であったことでしょう。
第二次世界大戦に戦死した鳥取県出身者は約1万4000人います。途方もない人数です。
過去帳に記載された戦死者のお名前をみるにつけ思うことがあります。
人間が「怒り」という煩悩に支配された時、どんなに惨たらしいことをしてしまうのか、ということです。
もともと仏教の精神は、「縁起」、つながりの中に私たちはある、ということです。つながりの中に生き、生かされていることを忘れず、平和のうちに全ての人が生涯を送ることのできる社会をめざしていかなければ。
過去帳を拝見して、改めて強く思いました。