坊守です。
午前中、秋の彼岸法要をおつとめしました。ことしはご講師さんは無かったのですが、3月も5月も8月も法要は寺族中心でおこないましたので、お参りいただいての法要は久しぶりでした。
法話は住職が。テニスで活躍中の大坂なおみ選手が人種差別問題にかかわって発信していることを切り口に、阿弥陀さんの願いについて語るものでした。

そろそろそんな法話も終わるかな、というタイミングで、手すりを伝いながら本堂に歩いてくるおばあちゃんの姿が視界に入りました。
お見かけしたことのない顔で、終わってから声をかけると「きょうが娘婿の祥月命日なので、お経をあげてほしい」とおっしゃいます。昨年亡くなった門徒さんの姑さんでした。
足も悪くずいぶん高齢にみえるのですが、バスを使ってひとりで来たとおっしゃるので、帰りは送らせてもらうことにしました。
ご自宅に着くと「乳母車を置いてきたなあ」と思い出されました。

ずいぶん遠慮されましたが、置き場所を聞き出して向かうと、ありました。バス停の脇の植え込みに。クルマでも数分かかる道のりを、乳母車をたよりにバス停まで歩いて、寺に来られたのかと改めて驚きました。彼岸に渡った娘婿への思いは、もっと早くに亡くなったという娘さんにもつながっているのかな、と想像しました。
住職には、お気持ちをしっかり受けてお勤めしてもらいます、と話しました。
