米科学誌『プレティン・ジ・アトミック・サイエンティスツ』が「終末時計」を発表し、世界滅亡を表す午前零時まで「残り100秒」と設定したとニュースが報じていました。1947年の設定以来、史上最短ということです。
その理由は、核兵器と地球温暖化がもたらす脅威が進んでいること。
いずれも、政治と社会のあり方が鋭く問われる問題です。
「阿弥陀経』、そして親鸞聖人が書いた「正信偈」に五濁悪世との言葉が出てきます。
五濁とは、①劫濁(こうじょく)、②見濁(けんじょく)、③煩悩濁(ぼんのうじょく)、④衆生濁(しゅじょうじょく)、⑤命濁(みょうじょく)の五つです。
劫濁とは、時代の汚れです。飢餓・戦争、そして今日では地球温暖化もそれ当たると思います。見濁とは、人々の考え方の汚れです。世界中で対立と分断を煽る論調が溢れています。煩悩濁とは、欲望、憎しみ、自己中心的な考え方がはびこることです。衆生濁とは、人々の資質が衰えることです。命濁とは、いのちが軽んじられることです。
2017年12月、「ニューヨークタイムズ」に1面を使って親鸞聖人の思想に賛同したエッセイが掲載されたことがあります。タイトルは「暗黒の世界には汚れた手が善をなす」。この話題を紹介された浄土真宗本願寺派勧学の徳永一道氏は、「現代は『自分が正しい』ということばかり言いつのっている。しかし、私は汚れた手しか持っていないという自覚によってしか世界は救われないと言っているのではないでしょうか。ここでは『罪悪深重』という宗祖(親鸞聖人のこと)の人間観がそのまま肯定され認められている」(『仏教LIFE〜宗学院論集別冊』41ページ)
こういう自覚でしか世界は救えない、そう浄土真宗の関係者ではないアメリカの研究者の方が言ってくださっています。
終末時計を進めるのも、食い止めるのも人間です。進める側でなく、食い止める側で頑張らないと!