尾崎翠のこと

尾崎翠(おさき・みどり)は、1896年生まれの作家です。創作活動は、大正〜昭和初期で、「第七官界彷徨」や「アップルパイの午後」などの作品があります。作品に漂う風変わりで独特の空気、ユーモアにファンも少なくありません。

翠の母まさの実家は西法寺で、翠は本堂裏の小部屋で生まれました。文芸誌に詩や短文の投稿を始めたのは17歳の頃から。18歳で岩美の尋常小学校の代用教員となり、網代という漁村にある当寺の僧堂に下宿しながら創作を続けました。20代〜30代、本格的に小説家を目指して東京に出た時期もありますが、体調を崩して鳥取に戻ってからは創作再開はしませんでした。
1971年に亡くなってから光があたり、全集などの出版がされています。

14世住職が生前の翠に会っていますが、印象はハイカラなおばさん。「境内の石段に腰掛けて、長い煙管でスパーッとタバコを吸っていた」

翠が生まれた本堂裏の小部屋は取り壊されていましたが、2004年に本堂を改修した際に再築し「翠の部屋」と呼んでいます。

彼女の詩を紹介します。「梨」のことを「ありのみ」とも呼ぶのだとこの詩で知りました。

新秋名果
ふるさとは/映画もなく/友もあらず/秋はさびしきところ。
母ありて/ざるにひとやま/はだ青きありのみのむれ/われにむけよとすヽめたまふ/「二十世紀」
ふるさとの秋ゆたかなり。
むけば秋/澄みて聖きふるさと。
はつあきのかぜ/わが胸を吹き/わが母も/ありのみの吹きおくりたる/さやかなる秋かぜの中。

翠の墓所は、鳥取市にある養源寺にあります。
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